https://www.amazon.co.jp/Think-Like-Freak-Secrets-Economist/dp/0141980079
行動経済学をベースにひとの考え方の落とし穴や思い込みを解明する、自己啓発本的と言えなくもないけど、とにかく話題が豊富で面白い。
1. What Does It Mean to Think Like a Freak
サッカーのPKで、左右より真ん中を狙う方がゴールの確率が高い、なのになぜキッカーは左右を狙うのか?それは実はプレーヤーにとって、試合の勝利以外にもインセンティブがあるからだ。
私は行動経済学についてはこの本と Freakonomics Radio しか知識が無いけれども、ひとの行動を解き明かすにあたって、「インセンティブ」が重要、というか第一のファクターとして見ているようです。その上で、各章で話が広がっていく。
2. The Three Hardest Words in the English Language
The Three Hardest Words というのは “I don’t know” のこと。確かに言えないことが多いですね。ワインの良し悪し、景気動向予測、イラクの大量破壊兵器、実際よく分からないことについていかに多くの人が分からないのに分かったふりをする(または分かった気になる)。我が身を振り返り、戒める。。。あとちゃんとデータを基に判断しようぜっていう話。
3. What’s Your Problem
ホットドッグ早食いチャンピオン、コバヤシタケルの話。大会に突然現れ、過去最高記録の2倍食って優勝した(12分で50本)。彼は早食いをスポーツと捉え、そのための戦略を立て、トレーニングした。ポイントは「問題を捉え直す」ということ。Game Changer ですね。これを意識して実践するのはなかなか難しいで。。。
4. Like a Bad Dye Job, the Truth Is in the Roots
次は問題を解決するにあたり、どうやって原因を見つけるか。人は受け入れ難い原因を見過ごしがちになる。中絶法が不幸な出産を減らし犯罪率を下げた、塩分濃度の高い黒人奴隷が選択的にアメリカに連れてこられたために黒人の心臓疾患率が高い、ピロリ菌の発見は既得権益を持つ医師、製薬会社から抵抗された。
5. Think Like a Child
simple に、small に考えようぜという話。中国のある町で、小学生に眼鏡を配ったら視力に問題のあった子は成績が25%から50%向上した。こんな単純なソリューションがあるなんて!貧乏人は貯金しないのに宝クジは買う傾向がある(一発逆転を夢見たい)。でも彼らに必要なのは貯金だ.じゃあ宝クジつき預金にしよう(当選金の原資は利子)
6. Like Giving Candy to a Baby
「インセンティブ」について掘り下げる。単純に報酬を与えれば人は動くのか?人が省エネを実行する一番の動機はなんだろう(答え:他のみんながやってるから)。NPO活動で寄付金を募る際、寄付してくれた人に継続的に無心するのではなく、「もしあなたが望むなら、一度寄付してくれたらもうメールは送りません」というアプローチの方がトータルでお金が集まる。なぜなら人は関係性をコントロールできることを望むから。
このへん心理学と密接に関わってくるけど、行動経済学としては実験から得たデータを重視するのがポイント。
7. What Do King Solomon and David Lee Roth Have In Common?
うまく仕掛けを作って、相手から適切な情報を引き出す。ヴァンヘイレンはなぜ楽屋に茶色のM&Mがあると暴れるのか。中世の教会裁判で「被告に熱した鉄を触らせる。嘘をついてなければ神様が救ってくれる」という方法がどう機能したのか。
Teach Your Garden to Weed Itself
8. How to Persuade People Who Don’t Want to Be Persuaded
相手を説得する際に気をつけること。この章はちょっとベタかな。大事だけど。そもそも説得は困難であるということ。自分の問題ではなく相手の問題であること。相手を侮辱しないこと。ストーリーを伝えること。
9. The Upside of Quitting
「辞める」ことの効用。なぜ「辞める、諦める」のは難しいのか。「やり続けた人のみ成功する」という美徳。人はこれまでの投資分(sunk cost)を過剰に評価する。辞めることで別のことに投資できる(oppotunity cost)を過小評価しないようにしよう。「辞める、諦める」を美徳とし、早くサイクルを回すことで次の目標に投資できる。ほんとはチャーチルもいろいろ辞めたり投げ出したりしてるんだぜ。